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クライミング上達の7つの基本

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 このページでは、クライミング上達の7つの基本や実際にその技術が定着しているかを確認できるチェック項目を説明します。この7つの基本は、フリークライミングにとどまらず、登山の縦走路の岩場やクサリ場を通過する際にも使う技術です。このページでは、クライミングの基本動作を確認する内容となっているので、各種ムーブ、ホールドの持ち方、リード技術、安全管理等の内容は記載していません。
 これらの基本ができていない場合は、様々なルートやバランスで繰り返し練習することによって、自分の技術として定着し、より安定した登りができるでしょう。


ポイント① つま先で立てる

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 クライミングは基本的に足で登ります。手の力だけで登っているととても疲れ、握る力が弱くなり岩をもっていられなくなります。ルートの難易度が上がってくると、ホールドやスタンスは少なく、小さくなっていきます。その小さいスタンスにつま先で立ってしっかり体重をのせることによって、腕の力を極力使わずに、足で登ることができるようになります。つま先は力を入れやすく、体重を一点にかけることによって、岩のフリクション(摩擦)を生かして、小さいスタンスにも立ち込めるようになります。
 登山靴の場合でも、つま先のクライミングゾーン(フリクションが良いラバー)がついているものも多く、この部分に体重をかけることによって安定して立てるようになります。
 また、つま先で立つことによって、身体の重心を左右に動かせるようになり、身体の動きの幅が大きくなります。これは、足の裏全体でベタッと置いてしまうとまっすぐ上には行けますが、左右に動きづらくなります。身体の動きの幅が大きくなると、遠かったホールドが簡単に取れたり、壁全体を見渡すことによってホールドを見つけることができます。

■ポイント① 「つま先で立てる」の技術が定着しているかを確認する一覧
・大きい/小さいホールドを問わず、つま先で立つことができる。
・良い・大きいスタンスを目で見て選択できる。
・大きさ、フリクションによってスメアリングとインサイドステップを使い分けられる。
・つま先に乗って重心を左右に動かすことができる。
・小さいスタンスにインサイドステップ/アウトサイドステップで立つことができる。
・腰を入れてジプス※に安定して立てる。(※スタンス専用の小さいホールド)

■ポイント① 「つま先で立てる」の練習方法
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 つま先で立つためには、自分の足にしっかりフィットしたクライミングシューズや登山靴が必要です。クライミングシューズは足の指先が曲がるぐらいに小さいサイズを選択します。登山靴はこれをはいて何時間も歩くので、ピッタリすぎると足の指先が痛くなることがあるので、登山の行程上で薄手と厚手の靴下をはき分けてフィット感をコントロールするのが一番簡単です。例えば、平坦な登山道では薄手の靴下を履いて、岩場を含む急な登り・下りでは厚手の靴下を履くなど。
 つま先の立ち方として、主に3種類あります。インサイドステップ、スメアリング、アウトサイドステップの3つです。クライミングシューズはこの3つを使い分けますが、登山靴ではインサイドステップとスメアリングを多用します。小さいスタンスに立ちこむ場合、体勢が重要になります。壁に近づきすぎず、腰を引きすぎず、まっすぐに立って、足に体重がしっかりかかるようにするのがポイントです。
 インサイドステップは、親指の母子球のあたりに力を入れてスタンスにのります。親指を曲げてスタンス(岩のでっぱりやへこみ)に巻き込むようにすると安定します。スタンスが小さくなれば、より先端の親指先に引っかける感じでのります。
 スメアリングは、足の指先全体(親指~薬指くらいまで)をスタンスにベタッとつけて、岩とシューズの設置面積を多くすることによって摩擦力を得ます。かかとを下げることによって、岩とシューズがピッタリ設置するようになります。
 アウトサイドステップは、薬指~小指に力を入れてのります。やはり力が弱いので、長い時間のることは少なく、登る動きの1つとして補助的に使うことが多いです。

ポイント② 腕を伸ばす

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 腕を曲げると力を入れやすいのですが、ずっと曲げていると筋肉に乳酸がたまりとても疲れます。ウンテイや鉄棒にぶら下がるときは腕を伸ばして手のひらだけ力を入れています。クライミングも同様の原理で、ホールドを持つ手は力を入れますが、腕全体は力を抜くことによって、疲れにくくなります。また、手を伸ばすことによって壁から身体が離れルート全体やホールド、スタンスの位置を確認しやすくなり、心理的にも余裕を持ったクライミングができるようになります。
 上に登るときに、腕を曲げて足に力を入れます。上のホールドをつかんだら、なるべく腕を伸ばして、腰を壁に近づけてしっかり体重を足に乗せましょう。次のホールドを探したり、ルートを見たりする時もなるべく腕を伸ばすことによって疲労をたまりにくくして、楽に登れます。

■ポイント② 「腕を伸ばす」の技術が定着しているかを確認する一覧
・スタートからゴールまで、腕を伸ばすことを意識できている。
・腕をのばした時に、無駄な力がかかっていない。(※ホールドを持ちすぎていない)
・レストの時に腕を伸ばしている。(※腕を曲げてレストしていない)
・(垂壁~うすかぶりで)身体を壁から離して、視野を広げることができる。

■ポイント② 「腕を伸ばす」練習方法
 腕を伸ばすためには、心理的に余裕があること、力を入れる部分と脱力する部分を使い分けてること、重心を落とすくせがついていること等が必要になります。
 落ちるのが怖くて心理的に余裕が無いと、肩や前腕に余計な力をかけて腕を曲げがちになります。力を入れる部分と脱力する部分が使い分けられると、指先や手のひらだけに力を入れて前腕や肩の力を抜いて、ホールドを保持できるようになります。初心者の場合、この力の加減が分からず、ホールドをぎゅっと握って、前腕も力を入れて、肩も固くなり、全体的に緊張してスムーズな動きができないことがあります。最後に、腰を落として重心を下げて、足を曲げて立ち腕を伸ばして腕に余計な力をかけないようにすることもできます。この場合、体幹や足の力も必要になるので、常にこの体勢が正しいわけではありません。

ポイント③ 足の歩幅小さく

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 階段を登るときに1段飛ばしで登ると早く登れますが、早く登ると息が上がります。足の歩幅小さくというのは、それと原理と同じで楽に登るための必須技術です。なるべく小さいスタンスで足を上げたほうが、足や心肺機能の負担が小さく楽に登れます。同じ原理でクライミングする時も、なるべく歩幅を小さく登ったほうが足の負担が小さく、バランスを崩しにくくなります。
 ただし、スタンスのホールドが少なく、足を高く上げて登る必要があるルートもあります。

■ポイント③ 「足の歩幅小さく」の技術が定着しているかを確認する一覧
・小さいステップで登っている。(※特に足自由課題)
・歩幅を小さくするために、足の置き換えができる。
・ホールド・スタンスが悪い場所で確実に体重移動ができる。(※下の足を蹴らない)

■ポイント③ 「足の歩幅小さく」練習方法
 とにかく歩幅が小さくできる場所は小さくするように心がけるしかありません。力がある人ほどこの技術を重視せず、腕登りになってしまう場合が多く、グレードが上がった瞬間に足さばきができず登れない場合も多いです。
 練習方法として、簡単なルートで歩幅を小さくして登ることを反復練習します。また、普段は置かないような小さなスタンスに補助的に足を置いて、次の大きなスタンスを登るために使ってみましょう。地道な練習を反復練習し、身体に覚えさすことによって、難しいルートに取り組んだ際に引き出せる、自分の引き出しになっていきます。
 また、足の歩幅を小さくするには股関節の柔軟性も重要です。スタンスはあるが、足をその場所に持っていくのが難しい場合、上半身を左右に振ったり、腰や膝をやわらかく使うことによって、使うことができるようになっていきます。

ポイント④ 平常心(リラックス)

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 クライミングするうえで最も重要な平常心。インドアのクライミングジムでは同じようなホールド、ムーブができるのだが、外岩でリードで登ると怖くてできない。こういうことが良くあります。クライミングは、精神力(メンタル)、技術(テクニック)、体力・筋力(フィジカル)の3つの力がバランスよく必要になります。精神力が無いと平常心が保てず、正常な判断ができない、焦って心拍数を高める、簡単なミスをする、とにかく腕力で登る等、安定して楽に登れなくなってしまいます。
 平常心を保つには経験が必要なのですが、クライミング初心者でもトレーニングは可能です。登る前に準備することによって解決できる場合もあります。トライするルートを他の人が登るのを見ることによって、ホールド・スタンスの位置、ムーブ、核心部分の認識を確認し、自分が登る姿をイメージします。これによって、ルート全体の流れが分かり心理的負担が軽減されます。こういったイメージトレーニングすることによって、イメージと実際の壁との差異が少なくなり、初めてのルートでもムーブを解決できるようになっていきます。

■ポイント④ 「平常心(リラックス)」の技術が定着しているかを確認する一覧
・肩の力を抜いて、ルートを見ながら落ち着いて登ることができる。
・心拍数が上がらないようゆっくり登り、呼吸ができる。
・人の話・アドバイスを聞き、動きや持ち方を実行することができる。


ポイント⑤ ルートを見る

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 ルートを見る技術には、2つの側面があります。1つ目は登る前にルートを見る、いわゆるオブザベーションです。2つ目は登っている最中に見ることです。
 オブザベーションすることによって、ルートの全体の長さ(高さ)、終了点の位置、ホールドの位置(チョーク跡)、核心(そのルートの中で一番難しいポイント)の場所等を確認します。また、リードの場合は、ランナー(ボルト)の位置や数、クリップできそうなポイント、ランナーに降られそうなポイント、絶対に落ちれないポイント等も確認します。
 登っている最中に見るというのは、レスト時に次の手順・足順を見たり、自分の持っているホールドや足を置いているスタンスを見てもっと安定した持ち方・置き方ができないかを確認することです。ホールドはチョーク跡が頼りになりますが、外岩の場合は試しに探った後もチョーク跡として残っていることも多く、そのホールドを自分が使うのか、使わないのかも判断する必要があります。

■ポイント⑤ 「ルートを見る」の技術が定着しているかを確認する一覧
・(オブザベーション)ルートの全体を見て、各ホールド左右のどちらかの手で持つかを判断できる。
・(オブザベーション)各ホールドの持ちやすさ、効き方向が分かる。
・(オブザベーション)ルートの核心部分が分かる。
・(オブザベーション)ルートの核心部分のホールディング、スタンス、ムーブが分かる。
・各ホールド、スタンス感を確認できる。(持ちなおす/足を置きなおす)
・レスト時に手順、足順を確認できる。
・登りながら、核心部分のムーブを想像できる。

■ポイント⑤ 「ルートを見る」の練習方法
 登る前にルートを見るオブザベーションの癖を付けましょう。簡単なルート、前にも登ったことのあるルート等でもオブザベーションの癖をつけると、ホールドの位置やムーブのイメージをつける練習になります。ルートの見方として、(1)ルート全体の流れを見る、(2)各ホールドの距離感・大きさ・持ちやすさを見る、(3)各スタンスの足の置きやすさ・足の入れ替え・フリクション(ざらざらしているか)を見る、(4)ルートの核心部を見る、ことです。
 (1)ルート全体の流れは、スタートの位置、キーホールドの位置、終了点の位置から、大まかに辿る場所を特定します。特にリードの場合、ロープの流れがスムーズになるようにランナー(クイックドロー)の長さを調整する必要も出てきます。
 (2)各ホールドの距離感・大きさ・持ちやすさは、可能な限り事前に情報を得るようにします。フラッシュの場合、登っている人の持ち方、バランスのかけ方からホールド感を把握したり、チョーク跡の大きさによって良く持たれているホールドなのかを確認したりします。
 (3)各スタンスの足の置きやすさ・足の入れ替え・フリクション(ざらざらしているか)は、外岩の場合なかなか下から見ててもわからない場合が多いです。登ってみると案外ベタッと置ける場所もあれば、つるっとしていておくのが怖いスタンスがあるのが普通です。重要なのは足や腰の位置です。そのホールドを持った時にどんな体勢(ムーブ)になっていれば楽か、次のホールドが楽に取れるかを考えます。手のホールドだけをおっていくと、足がおろそかになってしまいます。

ポイント⑥ 楽なバランスを保てる

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 楽なバランス?人間にとって最も楽な状態は寝ている時でしょう。その次は座っている時や立っている時かもしれません。ウンテイに腕を伸ばしてぶら下がっている時よりも、腕を曲げてぶら下がっている時のほうがキツそうです。
 クライミングは壁にへばりついている状態で、登る、休むを繰り返し行う運動です。腕の筋力より足の筋力が強いので、腕でぶら下がっているより足で立っているほうが楽です。また、腹筋や背筋の体幹の力があれば、足にしっかり体重をかけることができます。
 クライミングするうえで、この楽なバランス、楽に登れるバランスを「ムーブ」と言います。クライミングの基本である三点支持。人間の手足四点のうち、必ず三点を安定した場所に置いて、一点を動かす登り方を三点支持と言います。この三点支持も楽に登れるバランスの1つ、ムーブの1つです。

■ポイント⑥ 「楽なバランスを保てる」の技術が定着しているかを確認する一覧
・スラブ~垂壁では三点支持で登ることができる。
・足を上げる時に重心から大きく外れてあげることが少ない。
・両手・両足を広げて、力が入りにくい体勢にならない。
・ホールドのない壁に手や足を押しつけて、バランスを取ることができる。
・身体を上げる時や体勢を保持する時に、プッシュを効果的に使うことができる。
・凹角ルートでステミング、バックステップ等で楽な体勢を取れる。
・(うすかぶりで)足を引っかけて手前に引いて、体幹でバランスを取ることができる。
・(うすかぶりで)腰を入れて、しっかり足に体重を乗せることができる。

■ポイント⑥ 「楽なバランスを保てる」の練習方法
 

ポイント⑦ レスト&チョークアップ

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 クライミング上達の基本の最後は、レストとチョークアップ。長いルートや困難なルートを登る際に必要な技術です。ルートの核心の前にレスト、チョークアップし、核心をこえる準備をします。
 レストは数秒~数分までそのルートのレストポイントの状況によります。ストレニュアスなルートでの唯一かかりが良いカチ、ガバホールド、バンドのようなしっかりしたスタンス、手を離してもとどまれるテラス等、腕の力を抜いて血流を良くすることがレストの目的です。また、レスト時に次のホールド、スタンスの確認やチョークアップして手汗で滑らないように準備します。難しいルートほど、レストがルート攻略のカギになることも良くあります。

■ポイント⑦ 「レスト&チョークアップ」の技術が定着しているかを確認する一覧
・レストの体勢を取ることができる。(腕を伸ばす、腰を入れる、体幹で保持する)
・レスト時に片手を降ろして、シェイキングできる。
・チョークアップできる。
・チョークアップしながら、ルートファインディング、レストできる。

■ポイント⑦ 「レスト&チョークアップ」の練習方法
 

インドアクライミング講習会

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はじめまして、ラブジアースアウトドアクラブ(LOC)代表の岡村です。

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